ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は胃粘膜に生息する細菌で、1982年に、オーストラリアのマーシャル先生とワーレン先生が発見しました。2005年彼らは、この業績によりノーベル賞を受賞しました。ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍、胃癌、慢性胃炎などを引き起こすとされています。
日本では、中高齢者の7~8割の方がピロリ菌に感染しており、無症状のまま慢性胃炎を引き起こしています。最近の日本人を対象にした臨床研究によりピロリ菌の除菌によって胃癌の発生を予防できることが明らかになり、2009年日本ヘリコバクター学会は、ピロリ菌感染者は除菌すべきだと発表しました。そして2013年より慢性胃炎でのピロリ菌の除菌が健康保険で行われています。マスコミにも大きく取り上げられ、今では全国的に多くの人がピロリ菌の除菌を行なっています。
ピロリ菌とは
ピロリ菌外来
当院では以前より患者さんの希望により積極的に保険診療によるピロリ菌検査・除菌を行っています。
目的は将来の胃がん発生予防のためであり、身内で胃がんの方が多い患者さん、慢性胃炎を指摘され胃がんが特に心配な患者さんは是非ご相談ください。日本人において胃がんの発生頻度が行わない場合に比べて1/3程度になることが証明されています。
日本ヘリコバクター学会のピロリ菌感染症認定医が適切な方法で除菌治療を行います。
<対象者>
最近(6か月)の胃内視鏡検査で胃癌が否定されている方で慢性胃炎の診断を受け、ピロリ菌除菌を希望される方
胃内視鏡検査を受けていない方は、治療に先立ち内視鏡検査を受けていただきます。他の施設の人間ドックの胃内視鏡検査を受けた方でも結構です。結果を必ず持参ください。しかし検査より6ヶ月以上経過している方は再度当院で検査を受けていただきます。
1) ピロリ菌に感染しているかどうかの診断
血液検査(抗ヘリコバクター抗体)と尿素呼気試験(息を調べる検査:空腹で行う必要があります)で行います。結果は1週間ほどかかります。(3割負担で3000円程度)
2) 除菌治療
2種類の抗生物質と胃薬を1週間服用します。ペニシリンアレルギーのある方は相談ください。 、除菌率は90%程度です。多くの場合、他の薬と同時に服用可。(3割負担で4000円程度)
3) 除菌判定
除菌治療が終了して、8週以上経過した時点で、便(ヘリコバクター抗原)と尿素呼気試験(空腹時)で行います。(3割負担で4000円程度)
4) ピロリ菌の除菌不成功の場合
一部の薬を変更して再除菌(2次除菌)することができます。
5) 再除菌の判定 3)を行います
慢性胃炎に対するピロリ菌除菌療法が保険適応になったため、従来からおこなってきた自費診療は、特殊な場合(3次除菌、ペニシリンアレルギーの方)のみ行います。ご相談ください。
(全て自費のため除菌薬、除菌判定で26000円程度かかります)
追加事項:ピロリ菌除菌が成功と判定されても、念のため1年以上期間を空けて再度除菌成功を確認することをお勧めしております。